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気体は、8世紀の産業革命の頃には大気中に約0.8PPMが含まれていましたが、2世紀に入ってから急激に増え続けて、現在では1.7PPMを越えました。 今世紀半ばまで、メタンの温暖化作用は二酸化炭素に比べて小さく約4分の1の程度でした。
メタンの増加とともに温暖化作用も強くなり、現在では、二酸化炭素の温暖化作用の半分に達しています。 他方、フロンは、上空に拡がって成層圏に入りますと、成層圏オゾンを破壊します。
われわれの生活している大気の下層では、フロンは無臭.無害の気体ですが、温暖化を促進しているのです。 大気中のフロンの量は、二酸化炭素に比べると少なく、約1億分の1程度ですが、温暖化作用はメタンと同じ程度です。
フロンは、国際条約で製造が規制されていますので、今後、大幅に増加する心配はありませんが、大気中に長期間残留しますから、フロンの温暖化促進作用は無視できません。 温暖化が進むと、21世紀の後半には、世界の海面水位は現在よりも1メートル近くも上昇すると考えられています。
インド洋の島国のモルディブ共和国では、国土の1番高い場所でも海抜がせいぜい2メートルしかないのです。 モルディブは、1987年と1988年に連続して、サイクロンと呼ばれる台風と同類の嵐の影響を受け、海岸が水没の危機に遭遇しました。
契機として、海面水位の上昇に大きい関心が寄せられるようになりました。 この国のマウムーン.アブダル.ゲョーム大統領は、1987年の国連総会で、最近の大気中の二酸化炭素の増加は、人間を呼吸困難に陥れるほどのものではありませんが、地球を著しく温暖化します。
メタンとともに、二酸化炭素の増加が続くと、21世紀のうちには、温暖化が進み、地域によってはいまより気温が10℃も高くなる場合が起こります。 この変化は、単に気温変化だけですむものではなく、海面水位の変化や異常気象の頻発をもたらし、生態系に大きな異変を引き起こします。
「地球温暖化で海面水位が1メートル高くなるだけで、わが国の国土が水没するという致命的な打撃を受ける。 この災害は、われわれの引き起こしたものではなく、我々の力で防げるものでも孝ない」と演説して、出席者に大きい衝撃を与えました。

他の島国も同じ恐怖にさらされています。 南太平洋の島国のシバルのビケニベウ・ハエニウ首相は、1993年の東京サミットの直前に訪日して、この問題をサミットでも取り上げて、経済宣言に盛り込むように宮沢首相に訴えました。
ハエニウ首相は、「温暖化のもたらす海面水位の上昇のために、わが国が水没する脅威は、ジェノサイド(集団殺毅)そのものである。 集団殺毅の防止と処罰に関して国連が採択したジェノサイド条約違反だ」という趣旨の発言をしていました。
パエニゥ首相は、朝日新聞の記者と会見して、「冷戦が終わったいま、長期的には地球温暖化が最も重要な安全保障問題だ。 先進諸国は二酸化炭素などの温室効果ガス排出を抑制してくれないと、わが国が消滅する。
その結果、島民が生活の場を奪われて多数の環境難民が発生する恐れがある」と強調しました。 (平成5年7月2日.朝日新聞)。
これらの国の代表の発言を待つまでもなく、世界の人口の半分近くが海岸地帯に住んでいま1992年の暮れから1993年の初めにかけての冬の寒さについて、気象庁の当初の長期予報は、6年間続いた暖冬に終止符がうたれて、平年並みの寒さが戻るということでした。 この当初の予報に反して、実際には7年続きの暖冬となりました。
日本で暖冬が7年間も継続したことは、2世紀になってから経験しなかったことです。 象徴するように、富士山麓の山中湖の冬期の名物現象であった「全面結氷」が、最近7年間、起こっていません。
1993年の日本では、沖縄県を除き、記録やぶりの日照不足や異常低温が、全国規模で発生しました。 特に東北地方の梅雨の期間は、異例の長期間でしたので、農作物、なかでも米作は大打撃を受け、2年前の1991年を上回る冷害に苦しめられました。

もちろん、島国の日本も海面上昇の脅威から逃れられません。 日本の海岸の水位は、黒潮などの海流の変化にともなっても昇降し、また、地盤沈下の場所ではさらに高くなります。
これらの影響が、地球全体の平均の水位上昇に加算されるので、わが国の沿岸での水位が、21世紀の半ばに数センチ上昇し、東京の下町の大部分が海面以下に沈む可能性は否定できません。 海面水位上昇の脅威はインド洋や南太平洋の島国だけではなく、多くの国々にとっても大問題です。
1993年3月、米国のフロリダ州からマサチューセッツ州にかけての東部諸州は、春分を目前にした3月4〜5日に、今世紀最大級の暴風雪に見舞われました。 ふつうの年には雪を見たことのない南部地方でも大雪が降り、ニューョークやワシントンDCを猛吹雪が吹き抜けたのです。
1方、ニューョークやワシントンDCでは、1993年7月上旬に記録破りの猛暑となりました。 ワシントンの空港では気温は華氏で100度を越えて百3年ぶりに記録を更新しました。
また、米国の中西部では、この年の6月からの豪雨のために、ミシシッピ川の水位が5百年に1度の大洪水にも耐えるように作られた堤防を越えて大洪水となり、100億ドルの大被害を生じました。 他方、ペルー北東部のアマゾン川上流では、この年の4月に大規模な洪水が発生して、2万人以上が被災しました。
中国の漸江省を中心とした地域でも、同じ年の6月中旬からの豪雨で洪水が起こり、漸江省の3分の1が浸水したと報じられました。 さらに、この年の7月にはインド北部やネパールが豪雨に見舞われて、死者が3千人以上にも達しました。

このように、大きい被害を生ずる自然災害が、最近、特に頻々と報道されますので、自然災害が、地球温暖化にともなって頻度が増えたりしているのではないか、と心配する向きも多いと思われます。 事実、損害保険業界の最近の事業損益の状況は、裏付けています。
1990年度に、世界最大の保険組織である英国のロイズ保険協会が、大幅な赤字を記録し温暖化にともなって、地球上の温度や降水分布が変化して気候帯が極の方へ移動すると考えられています。 気候が異なると繁茂する樹木も異なりますので、温暖化にともなって森林も変ました。
この年の日本の損害保険25社の事業損益も、年ぶりに38億円の赤字となり、翌1991年度には赤字がさらに増えて8百51億円に達しました。 この赤字の主な原因は、台風などによる損害の保険金支払いの大幅な増加でした。
このことは、「地球温暖化」が単に「百年間での数℃の昇温」ではすまされない、「自然災害の脅威の増大」を意味しています。 前に述べた自然災害は、干ばつとともに農業生産に大きく影響します。
農業生産が気候に大きく支配されることは衆知のことです。 最近の5年間の米国では、とうもろこしや小麦などの穀物繰越在庫量が約2億トンに達した年もありましたが、干ばつが起こった年には約6000万トンに落ち込んだこともありました。
温暖化にともなって、穀物の輸出国である米国、カナダ、オーストラリアなどが、今まで以上に頻繁に干ばつに見舞われ、世界の穀物が円滑に供給されなくなるのではないかと心配されています。 現在、年平均気温が14〜16℃の西日本の大部分の平地では、本来、カシなどの常緑広葉樹林が多いのです。

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